インプラントとは
インプラントとは、体内に人工の材料や器具を入れることの総称です。歯科でのインプラントは、歯を失った箇所に人工の歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療のことを言います。
インプラントは「第2の永久歯」とも言われ、機能や見た目も自分の歯に近い仕上がりが目指せます。個人差はありますが、一度埋め込むと長期間持続します。
目次
こんなお悩みに
- 歯がない部分がある
- 歯槽膿漏で歯がグラグラしている
- 入れ歯やブリッジで不便を感じている
- 他の歯に負担をかけない治療がしたい
- 見た目に不自然な歯になるのはイヤ
- 堅いものを美味しく食べたい
施術の特徴について
インプラントは虫歯や歯周病で歯根ごと歯を失ってしまった、あるいは先天的に歯がない方に適した治療です。1本から全ての歯まで埋め込むことができます。総入れ歯や部分入れ歯が合わなくてお悩みの方にもおすすめです。
あごの骨の状態や健康状態によっては治療ができない方もいるため、術前にCT検査や血液検査、心電図検査などを行います。治療によっては2回の手術が必要になることや治癒期間を設けることから、上あごで半年程度、下あごで4~5ヶ月程度の治療期間がかかります。
治療後は、インプラント周囲の粘膜炎を予防するためにクリニックでの定期的なメンテナンスが必要です。
インプラントの構造と材料
・フィクスチャー(人工歯根):体になじみやすく金属アレルギーが発生しづらい純チタンやチタン合金がほとんど。
・アバットメント(連結部分・支台):フィクスチャー(人工歯根)と同じチタンやチタン合金に加え、ジルコニアの場合もある。
・上部構造(人工歯):大きく分けて金属製と非金属製の2種類があり、非金属製にはオールジルコニアやオールセラミック、セラミックとプラスチックを混ぜたハイブリッドセラミックなど数種類がある。
施術方法
インプラント治療の方法は2種類あり、あごの骨の状態などによって選びます。
1回法
1回法は、治療における手術が1回だけで済みます。インプラントを埋め込むあごの骨がしっかりと十分にあり、硬い場合に可能な方法です。
2回法
2回法は、手術を2回に分けて行う方法です。あごの骨や歯茎が少ない・柔らかい場合は2回法になります。インプラントと骨が結合する期間が必要なため、1回法よりも期間が長くなります。
1. 術前検査
インプラント治療ができるかどうか、CTや血液検査医、心電図などの検査を行います。適応後に治療計画を立てます。
2. 1次手術(埋め込み)
歯茎を切開してあごの骨にドリルで穴を空け、インプラントを埋め込みます。
※1回法では、同時にアバットメントと人工歯を連結してここで手術は終了します。
3. 治癒期間(2回法)
インプラントと骨の結合を強くするために、2〜6か月の治癒期間をおきます。
※1回法では1次手術と2次手術が一緒になるのでこの期間はありません。
4. 2次手術(連結)
再び歯肉を切開して、インプラントにアバットメントを取り付けます。状態が安定するまでは、仮歯を装着して過ごします。
2次手術から歯茎が落ち着く1~6週間後に上に被せる人工歯の型取り、作製、装着になります。1週間~1か月程度、噛み合わせや状態を確認して装着します。
施術の特徴まとめ
- あごの骨に人工歯根を埋め込み、もともと自分の歯のように見た目と機能を再現する
- 治療は6か月〜1年以上かかる
- 手術が1~2回必要
- 使用する材質によっては金額に差がある
- 長期間(10年以上)※維持できるが、インプラント周囲炎を予防するメンテナンスが必要
※個人差があります。
施術の詳細
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施術時間
1本あたり30〜60分(手術の内容による)
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施術回数
3回〜6回
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施術間隔
歯茎や骨の状態によって異なります。
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価格
1本あたり160,000〜600,000円
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麻酔
必要
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ダウンタイムや副作用
施術後に多少の腫れ、痛みなどが生じることがありますが、通常は1~2日間程度で落ち着きます。
〇想定される副作用・リスク
赤み腫れ痛み熱感傷口の炎症感染内出血血腫など -
留意点
・手術の麻酔が切れるまでは食事をお控えください。
・術後1週間程度は堅いものや刺激物、ガムは食べないようにしてください。
・抜糸するまでは、激しい運動、サウナ、飲酒、喫煙はお控えください。
※以下の方は施術を受けることができない可能性があります。
- 18歳未満の方(未成年)
- あごの骨が埋め込みに適していない方
- 歯周病の方
- 全身疾患(糖尿病、循環器系疾患など)のある方
- 妊娠中あるいは授乳中の方
施術の流れ
- カウンセリング
- 医師によるカウンセリングで、気になる部位や症状を相談し、治療方法を決めていきます。
当該治療が適応かどうか、ダウンタイム等についてもしっかり聞くことが大切です。 - 施術
- 局所麻酔または静脈麻酔を使用し、麻酔が効いたら手術を開始します。インプラントを埋め込む手術は1回法と2回法があります。歯茎の状態がよくなったら人工の歯を作製して被せます。
- アフターケア
- インプラントの状態や噛み合わせの確認をします。定期的な診察とメンテナンスを受けてください。
なおクリニックによってアフターケアの内容は多少異なります。
よくあるQA
- あごの骨が薄い場合はどうしたらよいですか?
- 骨粗鬆症などが原因であごの骨が薄い方には、インプラント治療の前に骨を形成する治療を行います。
治療にはご自身のあごの骨を移植する方法や、骨の再生を図る方法などがあります。
- インプラントのケアはどうするのですか?
- 天然の歯と同じように歯磨きや歯間ブラシなどのケアを行ってください。歯科衛生士の指導のもと、専用のハブラシをお渡しするクリニックもあります。
アバットメントがゆるんで人工歯が脱落した場合は、治療を受けたクリニックで再装着してもらいましょう。
- 金属アレルギーなのですが、大丈夫でしょうか?
- インプラントは、チタンという生体親和性が高い金属でできており、骨と結合します。アレルギーを起こすことはほぼありません。上に被せる人工歯の素材はセラミックやジルコニアがおすすめです。