再生医療の美容効果って? 再生医療の美容効果って?

「肌のハリが減ってきた」「若い頃に比べて髪のツヤ、ボリュームが無くなってきた」「昨日の疲れが顔に出やすくなった」--こんな悩みや願いに応えてくれるのが美容クリニックの再生医療です。
加齢とともに見た目や身体の機能は衰えていきますが、現在、自身の細胞を使ったり、他人の細胞を利用するなど様々な再生医療が開発されており、美容医療の分野では肌・頭髪・身体に有効な再生医療が注目されています。
今回は美容クリニックで受けられる再生医療について解説します。

お肌を感じる女性の写真 お肌を感じる女性の写真

基礎 その1 再生医療とは

「再生医療」とは、細胞の増殖と分化能力を利用して、「病気や事故などで失われた体の組織を再生する」ための医療のことです。
美容分野においては、衰えた身体や肌などを細胞から再生させる新しい治療です。肌のターンオーバーや血行を促進したり、コラーゲンやヒアルロン酸・エラスチンなどの産生に効果的に働きかけて肌再生させるといった、今まで対症療法しかなかった分野でも治療ができるということで注目されています 。

顕微鏡で検査をする女性の写真 顕微鏡で検査をする女性の写真

基礎 その2 再生医療(美容)の代表的な施術

美容クリニックで受けられる代表的な再生医療を3つご紹介します。

  1. ・PRP(多血小板血漿)療法

    PRP(多血小板血漿・たけっしょうばんけっしょう)療法とは、自身の血液を使ってしわ・くぼみ・クマなどを改善する再生療法です。
    PRP(Platelet Rich Plasma/多血小板血漿)は、その名の通り血液中に「血小板」を多く含んでいる血漿のことで、身体の組織修復能力を持つ成長因子が多く含まれており、お悩みの部位に注射器などで注入します。

  2. ・真皮線維芽細胞

    真皮線維芽細胞(しんぴせんいがさいぼう)とは、皮膚の真皮層にある細胞で、美肌の元となる成分(コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸)を作り出す役割があります。この線維芽細胞の数が減ったり働きが衰えるとしわやたるみが現れます。そこで自身の線維芽細胞を採取して、培養・増殖させて気になる部分に注入することで肌の若返りが期待できます。

基礎 その3 再生医療(美容)のメリット・デメリット

  1. ■メリット

    ・拒絶反応の心配がほぼ無い

    再生医療は自分自身の細胞や血液などを使用するので、拒絶反応の心配がほぼありません。

  2. ・若い細胞の保管ができる

    若い時の肌細胞を凍結保存して、半永久的な保管ができます。数年後〜十数年後に保存していた若い肌細胞を自身に補充することが可能で、エイジングケア効果 が期待できます。

  3. ・年齢による制限がない

    若年から高齢の方まで幅広く受けられます。さらに、再生医療の治療は注射や点滴などで行うケースが多く、大掛かりな手術を伴わないので、高齢の方でも受けるハードルが高くありません。
    ※未成年者も受けることは可能ですが、クリニックによって規約が異なりますので事前に問い合わせをしましょう。

  1. ■デメリット

    ・保険は適用されない

    厚生労働省が認可する治療法や薬剤ではないため、自由診療(10割自己負担)の治療となります。通常の保険診療に比べて費用は高額になる場合があります。

  2. ・効果や持続期間には個人差がある

    再生医療は先進医療でエビデンス(裏付け)が確立されていないため、効果や持続期間も予想が立てにくい治療法です。ホームページやパンフレットに掲載の症例などを参考に医師に確認してください。

  3. ・しこりやふくらみなどのリスク

    特にPRP療法でFGF(線維芽細胞増殖因子)を添加する場合、しこりや過剰なふくらみが発生するトラブルが多くあり、元に戻すには手術が必要になる場合がほとんどです。
    日本美容外科学会(JSAPS)は、「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」において、「日本美容外科学会(JSAPS)会員に対するアンケート調査の結果,注入部の硬結や膨隆などの合併症のおよそ4 割が PRPとbFGFの混合注入によるものであった」と報告しています。 また、「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」において、以下の通り「非推奨」の立場をとっています。

    1. 推奨度:2(行わないことを弱く推奨(提案)する)
      推奨文: bFGF(トラフェルミン)を添加した自家由来 PRP の注入療法は安易には勧められない.注入部の硬結や膨隆などの合併症の報告も多く,bFGF の注入投与は適正使用とは言えない.

美容クリニックの女性スタッフの写真 美容クリニックの女性スタッフの写真

基礎 その4 再生医療を受けるときに気をつけること

  1. 許認可を取得しているクリニックかどうか?

    再生医療は、治療内容により国の再生医療法に基づく許認可が必要になります。許認可を取得したクリニックは厚生労働省のホームページで確認することができます。
    クリニックに行く前に一度確認することをお勧めします。

  2. 治療について

    1. ・症状に対して一般的な治療方法か?

      再生医療は先進医療なので、その治療方法が有効かどうかはまだ確立されていない部分があります。しかし、現在一般的に行われている再生治療はいくつかあります。受けようとする治療が一般的な療法なのか、調べてから受けることをお勧めします。

    2. ・副作用や悪影響が出た場合の対応について

      再生医療はリスクの少ない治療と言われていますが、万が一副作用などが出てしまった場合の対応などもホームページ等にしっかりと記載しているクリニックを選びましょう。

    3. ・治療の効果、スケジュールについて

      再生医療の場合、1回だけの治療で終了や完治することはありません。治療を受ける前にスケジュールや期間、どれくらいの回数の治療を行い、どのような効果があるのかをきちんと調べましょう。

    4. ・注意事項は記載されているか?

      再生医療を受ける際の注意点(施術当日の注意事項や禁忌事項など)がホームページなどに記載されているか確認しましょう。

    5. ・クリニックの再生医療に対する知識は十分か?

      再生医療は先進医療です。医療機関同士の連携や学会など数多くの取り組みが行われていますので、最新の情報を用いて治療を行っているクリニックを選択しましょう。

  3. 費用について

    1. ・治療費の内訳

      再生医療は治療によって、細胞の採取から培養、自身への注入など、いくつかの段階を踏んで施術を行います。それらの費用がすべて含まれているかなど、治療費の内訳を詳しく調べるようにしましょう。

    2. ・治療費以外の費用

      副作用が出た場合や、効果が薄く追加で治療を受ける場合の費用など、初めに契約した治療費以外にかかるかもしれない費用負担に関しても必ず医師に確認をしましょう。

  4. その他

    1. ・疑問や質問に丁寧に答えてくれるクリニックを選ぶ

      再生医療にかかわらず、医療は医師によって治療法や考え方が大きく違ってきます。さらに再生医療は長い歴史を持つ治療ではないため、医師が日頃から勉強を積み重ね、最新の情報を得ているかどうかもクリニックを選ぶうえで大事なことです。
      インターネットに載っていない情報もあり、どれが正解か分かりません。少しでも不安や疑問などがある場合は、医師に質問して下さい。分かりやすい言葉で丁寧に答えてくれるかもポイントとなります。それでも悩みが解決しない場合は、そのまま治療を進めず、一旦立ち止まって考えることも重要です。クリニック・医師選びはとても大切ということを覚えておきましょう。

    2. ・再生医療ポータルを活用する

      日本再生医療学会が開設した再生医療ポータルサイトの「再生医療を受ける際に確認するポイント」を活用することもお勧めします。

SUMMARY まとめ

人間には自らの身体を再生しようとする力が備わっており、再生医療はその力を活かして様々な組織の修復や再生を目指す医療のことです。
美容クリニックでは、肌の再生医療がメインで行われており、細胞からハリや弾力・潤いのある肌になることが可能です。
しかし、先進医療であるがゆえに、しっかりとした知識と技術を持った、信頼できるクリニック選びと医師選びを行うようにしましょう。

当記事は皮膚・美容皮膚科の医師監修のもと制作しています。

医師監修のもと作成していますが、万が一間違いがあった場合はこちらからご連絡ください。

具体的な施術のお問合せは各クリニックまでお問い合わせください。

※2023年8月時点の情報です。
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