フィラー注入 その効果と注意点は? フィラー注入 その効果と注意点は?

美容クリニックの施術では、メスを使わない方法で肌や顔立ちに若々しい印象を与えたり、鼻や輪郭の形を変えることが期待できるものがあります。それが「フィラー注入」と呼ばれる注射による施術です。注入部位や注入剤は様々で、幅広いお悩みに対応しています。

ヒアルロン酸などの注入剤の写真 ヒアルロン酸などの注入剤の写真

基礎 その1 フィラー注入とは

フィラー注入のフィラー(filler)とは、直訳すると「埋めるもの」「詰め物」「充填剤」という意味ですが、美容医療においては主にヒアルロン酸などの注入剤または注入治療を指します。 フィラーの目的は以下のようなものがあります。
・しわや凹みの改善
・たるみの改善
・ボリュームを出す
・輪郭を整える
・鼻の形・高さの形成
・涙袋や唇の形成

使用するヒアルロン酸の種類は様々で、粒子の大きさや柔らかさ、持続期間が異なります。また、ヒアルロン酸の他にコラーゲン・アクアミド・カルシウムハイドロキシアパタイト・PCL(ポリカプロラクトン)などがあります。

フィラー注入が効果的な部位

フィラー注入が効果的な部位の画像 フィラー注入が効果的な部位の画像
鏡を見る女性の写真 鏡を見る女性の写真

基礎 その2 フィラー注入のメリット・デメリット

フィラー注入で使用する注入剤は、大きく分けると2種類で「吸収性フィラー」と「非吸収性フィラー」です。それぞれを比較してメリット・デメリットをご紹介します。

  1. 共通点

    ■メリット

    ・注射するだけなので手術に比べて負担が少ない
    ・注射器で少しずつ注入しながらバランスよく仕上げられる
    ・ボリュームや立体感などの即効性が期待できる
    ・皮膚を切開しないため、ダウンタイムも比較的短い
    ・当日すぐのメイクも可能

  2. ■デメリット

    ・内出血や腫れが起こる場合がある
    ・体質によっては、浅く注入する部位にチンダル現象(青み)が起こる場合がある

  3. 相違点

    吸収性フィラー

    ■メリット

    ・種類(ヒアルロン酸)によっては溶かす製剤で元に戻すことが可能

  4. ■デメリット

    ・時間の経過とともに徐々に吸収されて元に戻る(期間は種類によって異なる)

  5. 非吸収性フィラー

    ■メリット

    ・持続性がある

  6. ■デメリット

    ・元に戻す事は難しく、場合によっては大がかりな手術が必要
    ・肌が凸凹したり、しこりが残る場合がある
    ・重篤な症状としては、皮膚の壊死・失明などがある

基礎 その3 フィラー注入に対する日本美容外科学会の見解

基礎その3では、日本美容外科学会(JSAPS)の非吸収性フィラーに関する見解を解説します。 形成外科専門医を中心とした学会である、日本美容外科学会(JSAPS)は、「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」において、以下の立場をとっています。

  1. 特に非推奨= 「行わないことを強く推奨する」とされている施術を検討する場合は、その理由を考慮して慎重に判断をするようにしてください。

  2. • 顔(しわ治療)

    吸収性フィラー注入:治療を希望する患者には,行うことを弱く推奨する
    非吸収性フィラー注入:行わないことを強く推奨する

    1. 顔のシワ治療に,ヒアルロン酸製剤注入は勧められるか?

      推奨度:2(治療を希望する患者には,行うことを弱く推奨する)
      推奨文:ヒアルロン酸製剤注入は,簡便な施術で顔のシワの改善が期待でき,合併症は軽微なものがほとんどであるため,推奨することができる.ただし血管内への誤注入による皮膚壊死や失明などの重篤な合併症の報告があるため,十分な注意が必要である.

    2. 顔のシワに,非吸収性フィラー製剤の注入治療は有効か?

      推奨度:1(行わないことを強く推奨する)
      推奨文:非吸収性フィラー製剤の注入を推奨しない. 晩期合併症の危険性があり,除去が困難である.長期経過での安全性が確立されていない.

  3. • 胸(豊胸)

    吸収性フィラー注入:行わないことを強く推奨する
    非吸収性フィラー注入:行わないことを強く推奨する

    1. 乳房増大にヒアルロン酸製剤注入治療は有効か?

      推奨度:1(行わないことを強く推奨する)
      推奨文:ヒアルロン酸製剤注入による乳房増大術は,手軽に効果を得られる反面,被膜拘縮や乳癌検診の妨げになる可能性が指摘されており,その使用には慎重さが求められる.米国食品医薬品局(FDA)は乳房増大へのヒアルロン酸製剤の使用 を許可しておらず,またヨーロッパで使用されていたMacrolane TM(乳房増大用ヒアルロン酸)も CE マーク撤回に至った.世界的にも承認品が存在しない状況 を考慮した上で,班会議で慎重に議論した結果,推奨度は 1 とすることとした.

    2. 乳房増大に非吸収性充填剤の注入は有効か?

      推奨度:1(行わないことを強く推奨する)
      推奨文:過去に繰り返されてきた非吸収性充填剤による健康被害を考慮すると,乳房増大を希望する患者に非吸収性充填剤は勧められない.

基礎 その4 フィラー注⼊を受けるときに気をつけること

フィラー注入で満足いく結果を得るために、気をつけておきたいポイントをご紹介します。

  1. 信頼できる医師を選ぶ

    フィラー注入にはしっかりとした知識と技術が必要とされ、美的感覚も重要な施術です。形成外科・皮膚科の専門知識はもちろん、カウンセリングでしっかりとコミュニケーションが取れる医師を選びましょう。
    希望や悩みをしっかりと把握してもらうことで仕上りが大きく違ってきます。医師のプロフィールや症例写真などを事前にチェックしてみてください。
    ※日本形成外科学会( JSPRS )」の専門医であれば、形成外科の知識と技術を持つ医師として認定されています。

  2. 実績のある・丁寧な説明を行っているクリニックを選ぶ

    フィラー注入において実績あるクリニックを選びましょう。また、効果だけでなく合併症などリスクのインフォームドコンセントを行っているかも重要です。「安い」費用だけに惹かれて選ぶのも注意が必要です。

  3. 「長持ちする」「一生続く」はイエローカード!

    非吸収性フィラーの場合、海外では使用を禁止されている物もあり、十分な注意が必要です。一度受けると元に戻すのは困難で、大がかりな手術が必要となります。
    また、吸収性フィラーのヒアルロン酸には持続性のあるタイプがありますが、部位によっては適さないので注意が必要です。

SUMMARY まとめ

フィラー注入はしわや溝をふっくらさせる治療から始まり、現在は輪郭や鼻の形など様々な施術が可能になりましたが、医師の技術と美的センス、注入剤選びで仕上りが大きく違ってきます。
とくにたるみや凹み、鼻や涙袋などの仕上りは、医師の経験と審美眼がとても重要です。医師の情報や症例を精査して「この先生から施術を受けたい」と思う医師を見つけてください。医師との信頼関係やコミュニケーションは必要不可欠で、仕上りを左右する決め手とも言えます。

当記事は皮膚・美容皮膚科の医師監修のもと制作しています。

医師監修のもと作成していますが、万が一間違いがあった場合はこちらからご連絡ください。

具体的な施術のお問合せは各クリニックまでお問い合わせください。

※2023年8月時点の情報です。
HOT PEPPER Beautyでクリニックを探す